閣僚折衝で固まった主要項目 2026年度予算案の編成を巡り、政府は閣僚折衝を通じて主要な歳出項目を確定させた。一般会計の総額は122兆3000億円程度とされ、過去最大規模となる。複数分野で具体的な配分額が示され、政策ごとの優先度が浮かび上がっている。 地方財政を支える交付税措置 地方自治体向けの地方交付税は、前年度当初より増額され、20兆円規模となる見通しだ。税制改正に伴う地方税収の減少分については、交付金で全額補填する方針が示され、地方行政サービスの安定運営を支える内容となった。 防衛・農業分野への重点配分 防衛関連では、防衛力整備計画に基づく経費に加え、自衛官の処遇改善や新たな防衛体制の構築に向けた予算が盛り込まれた。農業分野では、生産性向上や資源調査体制の強化を目的とした事業が認められ、食料安全保障への対応が図られている。 教育・文化・子育て支援の拡充 文教分野では、国立大学の基礎研究を支える運営費交付金が増額された。あわせて、生活文化分野を含む無形文化財の継承に向けた予算も計上されている。子育て支援では、認可外保育施設の利用補助が引き上げられ、保護者の負担軽減につながる措置が盛り込まれた。 国債発行と市場の受け止め 新規国債発行額は29兆6000億円程度とされ、前年度を上回るものの、30兆円未満に抑えられる見通しだ。国債依存度は低下するとされる一方、金利や為替を含む金融市場の反応が、今後の財政運営に影響を与える局面となる。
増産政策に現場の戸惑いが広がる 鈴木憲和農林水産相は23日、報道各社のインタビューで、石破政権が掲げたコメ増産方針について「生産現場が大きな混乱に直面している」との認識を示した。生産者の間では、今年の好天による豊作を受け「来年は供給過剰による米価下落が起きるのではないか」との懸念が強まっている。政府はこれまで「価格抑制」を目的に備蓄米を放出してきたが、その政策が市場に与える影響が指摘されている。 「需要に応じた生産」を基本方針に転換 鈴木氏は、需給バランスを崩すような生産拡大は避けるべきだと述べ、「需要を基準にした農政運営が不可欠」と強調した。「需要を短期間で増やすのは難しく、来年は大幅な増産にはならない」と説明し、拡大一辺倒の政策を見直す方向性を明確にした。一方で、海外需要の開拓を通じて「中長期的には増産体制を整える可能性もある」と述べ、輸出戦略に軸足を置く姿勢を示した。 コメ価格への政府関与を否定 新政権の経済政策では食料品価格の安定が課題となっているが、鈴木氏は「コメ価格は市場で決まるもので、政府が関与すべきではない」と明言した。これは、前任の小泉進次郎前農相が主張した「コメは高すぎる」との発言と明確に異なる立場であり、石破茂前首相が示した「5キロあたり3,000円台が望ましい」との目安とも距離を置く発言となった。 小泉氏主導の「コメ対策チーム」も年内に解散 政府は「令和の米騒動」と呼ばれた昨年の混乱を受け、備蓄米を随意契約で市場に放出してきた。これを主導した小泉氏の「コメ対策チーム」について、鈴木氏は「役割を終えた」として年内に解散する方針を明らかにした。これにより、価格抑制中心の政策から、市場原理を重視する体制への移行が進むとみられる。 消費者支援策の検討と今後の展望 一方で、鈴木氏は物価高への対応として「おこめ券」などの消費者向け支援策を検討する考えを示した。農家保護と消費者支援の両立を課題としつつ、「現場感覚を重視した農政」を掲げている。政府内では、輸出強化や需給調整の仕組みづくりを通じて、長期的な安定供給を目指す方向で調整が続く見通しだ。
政府が増産方針を正式表明 石破首相は8月5日の関係閣僚会議で、コメの生産不足が価格高騰を招いたとして増産に舵を切る方針を発表した。耕作放棄地の活用や輸出拡大、農業経営の法人化・大規模化、スマート農業技術の導入による生産性向上を柱に据える。また、中山間地域の棚田保全のため新たな仕組みを検討し、再来年度の水田政策を見直す考えを示した。 農家からの懸念と現実的な障壁 全国の米産地からは、増産の必要性を認めつつも実現の難しさを指摘する声が上がる。新潟県の農家は異常気象の影響や長年の減反で生産力が低下しているとし、「簡単ではない」と述べた。加えて、増産による価格下落で収入が減る可能性への不安も根強く、安定した収益を確保できる仕組みの構築が求められている。 農業団体の求める需給見通しの明確化 JA秋田中央会は、政府が需給予測を誤ったことが昨年来の米価高騰の一因と指摘。今後は需給見通しを明確に提示し、休耕田や転作作物畑の水田復元には長期間と高額の費用が必要であり、公的支援が不可欠だと訴える。また、農業従事者の減少と高齢化が進み、人手確保が大きな課題となっている。 自治体トップの反応と提案 山形県の吉村知事は「20年、30年先を見据えた環境整備が必要」と述べ、宮城県の村井知事は「価格が不安定になれば農家の意欲が低下する」と警鐘を鳴らした。岩手県の達増知事は国の方針を歓迎しつつ、価格調整と所得補償制度の導入を提案している。 政策実行への課題と今後の方向性 政府は農業現場と連携し、需給予測の精度向上や収益安定策を講じる必要がある。人材不足やコスト負担、価格変動リスクといった構造的課題を解消できなければ、増産政策の実効性は限定的となる可能性がある。持続可能な農業体制の構築が急務となっている。
新たな市場開放には該当せずと明言 2025年7月23日、小泉進次郎農林水産相は、日米間で合意された関税交渉について、新たな農業市場の開放には当たらないと説明した。コメのミニマムアクセス(MA)枠における輸入総量は維持されることから、農業界に大きな変化はないとした。農業者に対しても安心感をもたらす内容だとしている。 米国産の割合を増加 他国枠が減少見込み 今回の交渉では、MA米の総量に変更はないものの、米国産の割合を増やすことが合意された。2024年度実績では、米国産が約34.6万トンと全体の約45%を占めており、今後さらに増加する可能性がある。代わりに、タイやオーストラリア、中国などからの輸入割合が減る見通しとなっている。 日本市場向けに中粒種の比率を高める方針 小泉農相は2025年度のMA米入札において、日本の消費傾向に合わせて中粒種の比率を引き上げる方針を打ち出している。この品種は国内で広く食されている短粒種に近く、中粒種の生産量が多い米国にとって輸出機会が広がる形となる。その結果、輸入先の構成におのずと変化が生じる可能性がある。 トランプ氏発言との温度差も浮き彫りに 米国のトランプ大統領がSNS上で「コメの市場開放」と表現したことに対し、小泉農相は「事実とは異なる」とし、誤解を防ぐために農業関係者へ丁寧な説明を行う考えを示した。政府として国内農業を守る立場を強調し、交渉の枠内に収まる内容であることを再度明確にした。 農業を守った交渉団に評価の声 交渉に当たった赤沢亮正経済財政・再生担当相らに対し、小泉農相は「農業を犠牲にすることはないとの方針を貫いた」と述べ、交渉姿勢を高く評価した。農水省としても今回の合意内容を国内農業に与える影響が最小限であると見ており、現行の体制に沿った適切な判断だったと位置づけている。
農水相が制度見直しを表明 70年近い歴史に幕 6月16日、小泉進次郎農林水産相は、1956年から続いてきた「作況指数」の公表を2025年産を最後に中止すると明言した。実際の生産現場との間に乖離があるとの批判を受け、制度の見直しに至った。 平年との比較に限界 現場感覚と指標のズレ 作況指数はその年のコメの収量を30年平均の「平年収量」と比べて算出され、5段階の評価で示されてきた。だが、昨年の指数が101と「平年並み」とされたにもかかわらず、コメ不足感と価格高騰が続いたことから、指標と実態のズレが顕著となった。 今後は前年との比較に移行 収量調査は継続 農水省は、従来の作況指数に代わり、前年との比較を基本とした作柄評価に移行する。これにより、農家や関係者がより現実的な判断をしやすくなることが期待されている。なお、全国約8,000区画を対象とする収量サンプル調査は今後も継続される。 測定基準も見直し デジタル技術の導入を検討 農水省は、主食用玄米のふるい分け基準として一般的な1.7ミリから、実情に即した1.8〜1.9ミリへの移行を検討している。また、衛星からの観測や大規模農家から得る収穫データの活用によって、統計の質を高める方針だ。 政策判断の基盤強化へ 農業の現場重視姿勢強調 小泉氏は会見で「精度の高い情報を基に、農業政策の基盤を刷新したい」と述べた。これまでの画一的な指標ではなく、現場に即した柔軟なデータ活用が求められる中で、制度の見直しは農業行政の転換点となる可能性がある。
Sign in to your account