財政支援終了後に急速な悪化が判明
総務省が発表したデータによると、2024年度の公立病院事業は3952億円の赤字を計上し、過去最大を更新した。新型コロナの感染拡大期に国の支援で一時的に黒字化していたが、補助金の減少以降は赤字基調に戻り、今回は前年度の約2倍という深刻な状況となった。
人件費と物価高騰が赤字の主因に
報告では、職員給与が前年度比5%増となり、賃金改定が大きく響いたとされる。さらに、医薬品や消耗品の費用も3.1%上昇し、物価高の影響が収支に重くのしかかった。入院患者数の増加で収益は伸びたものの、支出増加を吸収できなかったことが明らかになった。
赤字病院の割合も過去最大に達したと発表
対象となった全国の公立病院のうち、83%以上が赤字に転落した。これにより、自治体による病院運営の持続性が一層問われることになり、地方医療提供体制の安定性にも影響が及ぶ可能性が指摘されている。
地方公営企業全体では黒字も縮小が判明
同時に公表された地方公営企業全体の収支では、1300億円の黒字を確保した。しかし、物価高と人件費増が影響し、黒字幅は前年から72.4%減少した。病院以外の水道や交通事業は黒字を維持したが、利益は縮小傾向にある。
厳しい経営環境への警鐘が広がる
今回の決算結果は、公立病院を中心に地方自治体が直面する財政上の課題を浮き彫りにした。総務省は「非常に厳しい経営状況」と強調し、持続可能な医療提供をどう確保するかが大きな課題となっている。
