中国系通販サイトに重大な違法疑惑
フランス政府は11月5日、中国発の大手通販企業「SHEIN(シーイン)」に対し、児童ポルノおよび違法武器販売の疑いで、同社のフランス向けウェブサイトの停止を命じた。首相府は、司法当局による捜査の開始を受け、公共の安全を守るための緊急措置であると説明した。EUの執行機関である欧州委員会にも調査を要請しており、域内での規制強化が視野に入る。
児童ポルノにあたる商品を販売
仏検察は、シーインが「成人用玩具」として販売していた少女型の人形が児童ポルノに該当する疑いがあるとして捜査を開始した。フランスでは未成年を性的対象とする表現物の所持・販売は厳しく禁じられており、今回の事案は社会的関心を集めている。司法当局は、購入者の特定や販売経路の追跡も進める方針を示した。
違法武器の販売で批判強まる
問題はこれにとどまらず、シーインのサイトで「ゾンビナイフ」や「メリケンサック」といった武器に該当する商品が販売されていたことも発覚した。これらはフランスでは特別な許可がなければ販売・所持できず、公共秩序を脅かす行為とされる。レスキュール経済・財務相は、7日までに武器販売を完全に停止しなければサイトを閉鎖する方針を示した。
EU域内で規制強化の動き広がる
仏政府はEUレベルでの取り組みも求めており、「デジタルサービス法(DSA)」に基づく監視を強化する姿勢だ。欧州委員会はすでに、シーインによる違法商品の流通や知的財産侵害の有無を調査している。加盟国での個別規制が広がれば、同社の欧州市場での活動が大幅に制限される見通しとなる。
パリ店開業も波紋広がる
こうした中、シーインは同日、パリ中心部に初の常設店舗を開業した。開店前から若者を中心に行列ができた一方で、環境負荷や労働搾取を理由に反対デモも発生。アパレル業界関係者からは「安売りの影に不正がある」との批判が相次ぎ、シーインの急成長を象徴する一幕となった。
