大規模通信障害の発生時刻と影響範囲が判明
11月18日午前、米Cloudflareのネットワークで深刻な不具合が起き、多数のオンラインサービスが一時利用できなくなったことが明らかになった。障害は協定世界時の18日11時20分頃に始まり、利用者の多いChatGPTやXのほか、音楽配信や電子決済など多様な分野に影響が広がった。アクセスを試みたユーザーにはエラーメッセージが表示され、企業や行政機関の運用にも支障が生じた。
内部システムの設定変更が障害につながったことが判明
Cloudflareは発生直後、攻撃を受けた可能性を視野に調査を進めたが、その後の分析で原因が社内処理にあることが判明した。データベースの権限設定が変更された際、bot管理システムが利用するファイルに重複した行が大量に生成され、データ量が通常の2倍を超える状態になった。ファイルの肥大化によってルーティング用ソフトが処理能力を超過し、ネットワーク全体の通信が阻害された。
復旧作業の進展とシステムの安定化が判明
同社は異常を確認後、過去の正常なデータに置き換える緊急対応を実施し、日本時間18日夜までにサービスの多くが回復した。その後もネットワーク各所に残った負荷を解消する作業が続けられ、徐々に処理能力が安定したことが確認された。社内の担当チームはログ解析や再発防止策の検証を行い、障害の影響範囲の特定を進めている。
世界的依存構造が明確になった影響
今回の障害では、民間企業だけではなく米政府の規制機関や地方行政のサイトも一時的に接続できなくなった。Cloudflareの技術は多数の企業が利用しているため、単一の事業者が抱える問題が世界規模で波及する構造が改めて浮き彫りになった。専門家からは、インターネットの基盤が特定企業に偏っている現状を指摘する声も出ている。
経営陣の謝罪と強化策が発表
Cloudflareの経営陣は今回の障害を重く受け止め、利用企業および全てのユーザーに対し謝罪の意を示した。同時に、同様の事態を避けるための改善計画をすでに開始したと説明した。権限管理の見直しやデータ処理の監視強化など複数の施策が検討されており、ネットワークの信頼性を高める取り組みが進められている。
