国税局が大型申告漏れを指摘
東証プライム上場のオリンパスが、子会社の税務処理をめぐって東京国税局から約300億円の申告漏れを指摘されていたことが明らかになった。対象期間は2024年3月期までの2年間で、過少申告加算税を含め追徴課税額は約110億円に上る。同社はすでに納税を済ませている。
分社化と子会社売却の経緯
オリンパスは2022年に科学部門を切り出し、新会社「エビデント」として独立させた。翌2023年にはこの子会社を米系投資ファンドに売却し、医療事業へ経営資源を集約する戦略を進めていたが、その過程で行われた税務処理について国税当局から問題点を指摘された。
グループ通算制度の適用を巡る相違
同社はグループ通算制度を活用し、エビデントの赤字をグループ内の黒字と相殺する方法で申告した。しかし東京国税局は制度の適用を認めず、課税処分に踏み切った。税務上の制度解釈をめぐる企業と当局の見解の隔たりが浮き彫りとなった。
企業側の見解と納税対応
オリンパスは取材に対し「税務当局との間で見解の違いがあったが、指摘を受け速やかに納税した」とコメントしている。今回の対応を通じ、適正な申告と納税を今後も継続する姿勢を示した。企業の説明責任と法令順守が改めて問われる事態となった。
制度運用を巡る課題の露呈
今回の事例は、企業再編や子会社売却といった経営判断が税務制度の適用に複雑な影響を及ぼすことを示した。制度の解釈が不一致となる場面は他社にも波及する可能性があり、企業には慎重な税務戦略が求められる。国税局の判断は、今後の企業再編における指標ともなり得る。
