資源改善を踏まえた増枠方針が判明
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)は、2026〜2028年に適用される大西洋クロマグロの年間漁獲枠について、日本の割当量を4,321トンとする方針を決めた。2025年比で14%増となる543トン上積みされ、資源状態の改善が数値に反映された形となる。高級食材として需要の高いクロマグロは、日本の市場でも安定供給が求められており、今回の決定は漁業者と流通関係者にとって重要な節目と位置付けられる。
増枠に至った資源状況の変化が判明
ICCATが今回の設定を行った背景には、近年の調査で大西洋クロマグロの資源量が回復基調にあるとの評価が示されたことがある。過去には乱獲で数が減少し規制強化が続いてきたが、産卵資源の増加など複数の指標が改善したことで、管理措置の緩和が認められた。日本側の漁獲枠は太平洋の枠より小さいが、回復傾向が明確になったことで、長期的な供給見通しも安定しつつあると受け止められている。
東西水域での配分状況が発表
大西洋クロマグロは東側と西側で区分管理されており、今回の日本の枠は東水域で3,559トン、西水域で762トンとされた。いずれも前年比で2桁増となり、日本の実際の操業範囲に合わせた形で配分が拡大された。東側は欧州やアフリカ沿岸が中心で、資源量が比較的豊富とされている。一方、西側は北米周辺で、管理の厳格さが特徴だが、こちらでも増枠が認められたことは回復基調の裏付けといえる。
メバチマグロの協議状況が発表
今回の年次会合では、クロマグロに加えてメバチマグロの扱いも議題となった。しかし、漁獲枠を動かすための合意形成には至らず、現状維持となった。メバチマグロは安定供給が重要な魚種であるため、漁獲水準の調整には慎重な協議が求められている。ICCAT加盟国間での見解の相違もあり、次年度以降の会合で引き続き調整が進められる見通しとなっている。
次回会合に向けた日程調整が進行
ICCATには日本、米国、EUのほか、新興国を含む55カ国・地域が参加している。今回の会合は11月17〜24日にスペインで行われ、多数の漁業管理案件が協議された。次回の会合は2026年11月にポルトガルで実施される予定で、大西洋クロマグロの追加評価や、メバチマグロを含む他魚種の枠組み見直しが改めて議論される見込みだ。
