外交リスクを避ける慎重な判断
自民党の高市早苗総裁は、10月17〜19日に行われる靖国神社の秋季例大祭での参拝を見送る方向で最終調整に入った。複数の党関係者によると、高市氏はかねてから閣僚時代を含めて節目ごとに参拝を続けてきたが、総裁として初の例大祭を前に、外交問題化の可能性を慎重に検討したとされる。中国や韓国の反発が想定される中、日中・日韓関係への影響を最小限に抑える判断とみられる。
公明党との協議で方向性を確認
7日に行われた公明党の斉藤鉄夫代表との会談では、靖国参拝に関して「外交問題にすべきではない」との意見交換が行われ、両者が一定の認識を共有した。高市氏にとっては、連立与党の公明党との関係維持も重要な政治課題であり、内政と外交の双方に配慮する立場が鮮明となった。
総裁就任後の立場と公約の変化
高市氏は昨年の総裁選出馬時には「首相就任後も参拝する」と明言していたが、今年の選挙では「適切に判断する」と柔軟な姿勢を示していた。就任後初の外交対応が問われる中で、現実的な対応への転換は、総裁としての国際的責任を意識したものとみられる。
トランプ来日とAPECを念頭にした調整
今月27〜29日にはトランプ米大統領の来日が予定されており、米国の立場にも一定の配慮を示した格好だ。また、月末には韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で中国の習近平国家主席との首脳会談を模索しており、直前の靖国参拝が火種となることを避けたとみられる。
参拝見送りがもたらす今後の影響
今回の判断は、国内保守層の一部から批判を受ける可能性もあるが、外交的安定を優先する姿勢は、国際社会との信頼構築に寄与するとの見方もある。高市政権の初動として、内政よりも外交均衡を重視する方針が明確になった。
