国会で指名、憲政史上初の女性宰相が誕生
21日午後、衆参両院本会議で首相指名選挙が行われ、自由民主党総裁の高市早苗氏(64)が第104代首相に選出された。女性首相の誕生は日本の憲政史上初となる。
高市氏は、辞任した石破茂前首相の後を引き継ぎ、皇居での親任式を経て同日夜に高市内閣を発足させた。連立を組むのは日本維新の会で、公明党の離脱後に新体制が構築された。
経済危機への対策を最優先に指示
初閣議で高市首相は、急速な物価上昇と家計への圧迫を「最も差し迫った課題」と位置づけ、経済対策の策定を閣僚に指示した。
「手取りを増やし、生活負担を減らす」方針のもと、ガソリン税の旧暫定税率廃止や冬場のエネルギー支援を打ち出したほか、所得税控除制度や給付付き税額控除の導入も検討に入る。
さらに、地方自治体への交付金拡充と、物価上昇を踏まえた公共契約単価の見直しを指示した。
女性閣僚は2人、保守的姿勢も維持
女性登用が注目されたが、閣僚に起用されたのは片山さつき財務相と小野田紀美経済安保相の2人にとどまった。
高市首相は「機会の平等を重視した人事」と強調したが、ジェンダー平等政策への姿勢に対しては国内外で賛否が分かれている。
首相自身は同性婚や選択的夫婦別姓制度に慎重で、伝統的家族観を重視する立場を貫くとみられる。
維新との閣外協力体制が始動
自民党と日本維新の会は、衆参両院ともに過半数を割る少数与党として発足した。両党は連立合意書を交わし、議員定数の1割削減を含む政治改革を進める方針を示した。
維新は閣僚を出さず、政策協定に基づく「閣外協力」にとどまる。これに対して、立憲民主党や公明党からは「性急で乱暴な対応」との批判が出ている。
外交日程続く中で指導力が問われる
高市首相は就任直後から外交日程に臨む。26日からマレーシアでASEAN首脳会議、その後韓国でのAPEC首脳会談に出席し、帰国後にはトランプ米大統領との会談が予定されている。
記者会見で首相は「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と述べ、外交と安全保障を政権の軸とする姿勢を明確にした。
今後、国内経済の再建と外交の両立が政権運営の最大の課題となる。
