急騰後に急落、市場に警戒感広がる
21日のニューヨーク金先物市場で、金12月限が前日比250.3ドル安の1トロイオンス=4109.1ドルと急落し、1日の下げ幅として過去最大を記録した。前日に史上最高値を更新した直後の急変で、投資家の間に動揺が広がった。金現物も一時4093ドルまで下落し、1日で300ドル超の値幅となった。
ドル高と利益確定売りが急落を誘発
金の急落は、米ドルの上昇と投資家の利益確定売りが主因とされる。米株市場では同日、ダウ平均が史上最高値を更新し、リスク資産に資金が戻ったことも金相場に逆風となった。安全資産としての金需要が弱まり、短期的な資金の流出が加速した格好だ。
ETFへの過剰流入が反動を拡大
投機的な動きも急落の背景にある。米掲示板「ウォールストリートベッツ」では金連動ETF「SPDRゴールド・シェアーズ(GLD)」が注目を集め、直近3営業日で49億ドルの資金が流入していた。相場の上昇を見込んだ過剰な買い持ちが、下落局面で一気に解消され、売りが売りを呼ぶ展開となった。
長期上昇トレンドに陰りも
年初来で60%超の上昇率を維持する金相場だが、過熱感を指摘する声が強まっている。キャピタル・エコノミクスのジョン・ヒギンス氏は、20日時点で「金価格は物価水準から見て正当化できる範囲を超えており、バブル崩壊の可能性が高まっている」と警告していた。今回の急落はその見方を裏づける形となった。
金市場の安定性試される局面 再上昇の兆し見極めへ
一方で、今回の下落を押し目買いの好機とみる投資家も存在する。安全資産としての金の価値は依然高く、地政学リスクや金融緩和期待が続く限り、再び買いが入る可能性もある。市場は今後の米金融政策や世界的な資金動向を注視している。
