左派政策を掲げた34歳の新星が当選確実
アメリカ最大の都市ニューヨークで4日に行われた市長選挙で、民主党新人ゾーラン・マムダニ氏(34)の当選が確実となった。主要メディアが5日に報じたもので、同氏は南アジア系かつイスラム教徒として初の市長となる。ウガンダ生まれ、インド系の両親を持つマムダニ氏は、2020年に州議会議員に初当選して以来、急速に知名度を上げていた。
若者や低所得層の支持集める政策方針
選挙戦では、家賃上昇の凍結、公共住宅の整備、市営バスや保育の無償化など、生活支援策を前面に掲げた。財源は企業や富裕層への増税によって確保する方針を示し、格差是正を訴えたことが若年層や低所得者層に広く支持された。地元メディアによると、投票率の高かった18〜35歳の有権者の大半がマムダニ氏に投票したという。
トランプ大統領は「共産主義者」と批判
こうした政策に対し、ドナルド・トランプ大統領は「共産主義的だ」と非難を繰り返した。選挙期間中には「ニューヨークへの連邦資金の停止も検討する」と発言するなど、強硬な姿勢を取った。マムダニ氏は勝利演説で「トランプ大統領よ、我々の誰かに手を出すなら全員を相手にすることになる」と語り、対立構図を鮮明にした。
歴史的選挙が示した多様性と変化
マムダニ氏は演説で「ニューヨークは移民によって築かれ、移民によって力を得てきた」と述べた。イスラム教徒への偏見をあおる選挙戦を批判し、「反ユダヤ主義に屈しない市政を築く」とも語った。イスラム教徒が市長に就くのは初めてであり、「移民の街ニューヨーク」が多様性を象徴する結果となった。
中間選挙への波及と民主党内の課題
専門家は今回の結果が2026年の中間選挙に影響を与えると分析している。慶應義塾大学の渡辺靖教授は「生活コストの上昇に直面する市民が即効性のある救済策を求めた」と指摘。一方で「左派が強く出すぎると中道派や無党派層が離反するリスクもある」として、民主党が舵取りを迫られる状況を示唆した。
