関西空港で不審荷物検査から発覚
大阪府警は10月15日、ブラジル国籍のメンドンサ・ロペス・ジエゴ容疑者(38)と19歳の女を、麻薬取締法違反(営利目的輸入)の疑いで逮捕した。2人は8月中旬、関西空港から入国した際、手荷物の少なさを不審に思った税関職員の判断で腹部のX線検査を受けたことから、体内に異物があることが判明した。
コカインを繭状に加工し体内に隠匿
検査の結果、2人の腹部からは繭のような形状(約4〜5センチ)の物体が多数確認された。大阪府警によると、それぞれが複数のコカイン包みを飲み込み、合計150個以上を体内に隠していたという。押収された薬物の総量は約1.5キロにのぼるとされ、組織的な密輸の一環とみられている。
経路はブラジルからフランス経由で日本へ
2人はブラジルから出発し、フランスを経由して日本に到着した。府警はこのルートが国際的な密輸組織による指示に基づくものである可能性を視野に入れている。経由地を変えることで追跡を困難にする狙いがあったとみられ、詳細なルートの解明が進められている。
運び屋として組織的に活動か
大阪府警は、被疑者らを「運び屋」として雇われた下部実行者とみており、背後に国際的な薬物密輸グループが存在するとの見方を強めている。職業や居住地などの詳細は明らかにされていないが、共謀者や指示役が国内外にいる可能性も否定されていない。
税関と警察の連携が摘発の決め手に
今回の発覚は、税関職員の観察眼と迅速な検査対応によるもので、病院でのCT検査が決定的な証拠となった。体内隠匿は発見が難しい手口だが、検査体制の強化と職員教育が成果を上げた形だ。大阪府警は今後、密輸ルートの全容解明と組織の背後関係の特定を進める方針を示している。
