オランダの管理介入と中国の対抗措置、半導体輸出規制の影響が判明
オランダ政府は9月、企業統治上の重大な欠陥を理由に、ネクスペリアの経営権を掌握した。中国側は対抗し、中国で生産される同社製品を輸出規制の対象とした。両国の措置は、製造拠点と後工程が国境をまたぐ半導体供給網の脆弱性を直撃し、サプライチェーン全体の滞留リスクを顕在化させた。
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閣僚協議は不調に終結、対立解消に向けた実効的手段なしが判明
21日にオランダの経済相と中国の商務相が協議したが、具体的な解決策は示されなかった。協議は「さらなる措置」の検討にとどまり、輸出規制と管理介入の両輪が当面継続する構図が続く。調整の出口が見えないなか、在庫の持続期間も不明で、先行きの可視性は低い。
自工会が供給不安を警戒、日本の部品メーカーへの通知の影響
日本自動車工業会の片山正則会長は23日、複数の部品メーカーに半導体の納品保証ができない可能性の通知があったと明らかにした。各社のグローバル生産計画は、一般用途向け半導体の欠配でも即座に影響を受ける。電子制御ユニットなどで代替の即応性が乏しい領域があり、短期の調達障害でもライン停止リスクが高まる。
欧州業界団体が警鐘を発表、生産停止の恐れと供給継続性の課題
独VDAは、供給中断が短期間で解消されなければ生産停止に至る恐れを示した。ネクスペリアの製品は高度品ではないが、自動車・家電で数量依存が大きい。欧州での製造と中国でのパッケージングという分業の断絶は、在庫薄の領域ほど深刻化しやすい。供給継続性の確保が至上課題となる。
在庫・代替・工程移管の三位一体対応、短中期の影響緩和が焦点
短期は在庫の可視化と優先配分で凌ぐほかない。中期は代替部品の適合性検証と調達多様化が鍵となる。後工程の中国依存を下げる工程移管も検討対象だが、立ち上げ期間と品質保証のハードルがある。日本車の世界生産は、分業構造の見直しと調達の冗長性確保が回復力を左右する。
